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海外向けに発表され90年代に日本でも火がついたAW-500

G-SHOCK初のアナログ・デジタルモデルとして、AW-500は1989年に登場した。1989年のオリジナルAW-500G-1Eは通称グラフと呼ばれ、文字盤中央に配された耐衝撃グラフのデザインがその所以だ。このAW-500は腕時計市場の主流であったアナログ表示に、G-SHOCKとして初挑戦したモデルである。時計に衝撃が加わると針落ちの懸念があるため、アナログな針を用いてG-SHOCKの耐衝撃性を維持するのは、実は格段に製作難易度が上がる。トライ&エラーが繰り返され、独特な円柱状のフォルムを持つラウンド側のデザインに行き着いた。

 誕生から30年以上が経ち、2020年にセンターケースもSSのフルメタルモデルとして発表されたAWM-500は、樹脂ケースモデルと同様に針の脱落を防ぐ点で、デジタルモデルであるGMW-B5000Dよりも開発が困難だったという。本機では、オリジナルの形状をとことん再現することにこだわられ、バンドの3コマめまでを三次曲線とした。鍛造と切削を巧みに組み合わせた結果である。一方で、見えない部分のケースは極限まで肉抜きされ、耐衝撃性を実現するため軽量化が図られている。
 インデックスは脱落を防ぐため、植字ではなくワンピース構造に。オリジナルに忠実なのは裏面でも徹底されており、スクリューバックが採用された。内部モジュールの感度や厚みが出過ぎるなどの問題から、当初は導入されない予定だったが、熱狂的なファンのいるAW-500のメタル化(どのモデルでも同様かもしれないが)に際して、細部までぬかりなく仕上げられた。
 ちなみに、まったく同じように見える外観だが、実はベゼルサイズはオリジンモデルよりも10%程度小さい(約93%ほど)。これはまったく同じサイズにした場合、視覚的にメタルモデルの方が大きく見えてしまうことからの調整だったそうだ。ここまで手が込まれたAWM-500Dは6万6000円(税込)である。

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